国内外に2つの農園を持ち「素材から自分たちで作りたい」思いを貫く理由とは?
お菓子のうつくしさ、美味しさだけでは語れない、鎧塚シェフの勢いの秘密。
2020年コロナ禍における農家の現状を踏まえながら、お話しくださいました。
セミナー概要
【セミナー名】:Yoroizuka スペシャルティーセミナー
【日時】:2020年12月13日(日)13:30~15:00
【開催場所】 :小田急ホテルセンチュリー相模大野
鎧塚シェフ × 農業
鎧塚シェフにとって農業は「美味しい」を届けるためのたいせつな要素となっています。
2020年コロナ禍で非常に苦しんでいる農家の状況や、国の対策金等も実際の農家まで届いていない現状に対し、陳情活動も行っている同氏。
「第一次産業は慢性の人手不足」
自身も農園を始めて問題の大きさを実感しているという。
全国での講演会やメディアを通して現状を発信しているとお話しがありました。
鎧塚シェフが考える「勢いのある店」とは?
「ケーキ・店舗・ショーケース・従業員を見ても、優れたお店には「勢い」がある」。
鎧塚シェフはこのように語っています。
「勢い」とはお客様に”美味しい”と喜んでもらうために、「一生懸命」「真剣さ」「妥協しない」こと。
自分たちで農作物を作る。
1年間苦労して育て、収穫した素材をお客様に食べていただく。
素材やお客様のありがたみを実感している鎧塚シェフをはじめとする、スタッフたち。
全ては美味しいお菓子を食べていただくため。
技術だけではない心の在り方が、「勢い」となってお菓子に関わるの全ての要素に表れているように感じました。
鎧塚シェフは、なぜ小田原農家さんに受け入れられた?
小田原一夜城Yoroizuka Farm、 南米エクアドル Toshi Yoroizuka Cacao Farmという2つの農場をもち、新たなる第一次産業とのコラボレーションを展開している鎧塚シェフ。
「一夜城Yoroizuka Farmは、小田原の地元農家との技術交換によって、受け入れられた」といいます。
農家さんからは農場運営技術を、鎧塚シェフからは農作物の加工技術を交換することで、共存する。
「農家を助ける=ボランティアではない」。
「農家・行政・お店・お客様、みんながwinwinで幸せになることが大切」。(同氏)
この考えが地元農家さんに受け入れられ、一夜城Yoroizuka Farmは小田原の観光名所にまで発展したのと感じます。
小田原あんこの特別スイーツを堪能
この日は、鎧塚シェフによる実演もあり、セミナー参加者全員でスペシャルスイーツをいただきました。
小田原の製餡所で作られた黒ゴマあんこを使ったモンブラン。
中は無糖で固めのクリーム、周りを濃厚な黒ゴマあんこでコート。
モンブランらしく、山頂にはつや肌に金粉がちりばめられた栗があしらわれています。
生クリームは無糖なので、より濃厚な黒ゴマあんこの香りを甘みが引き立ちます。
ホテルの紅茶と一緒にただいたスペシャルスイーツで、一層、特別な時間になりました。
「第一に美味しいこと」それが勢いのあるスイーツにつながる
お菓子づくりにおいて大切にしていることは「第一に、美味しいこと」
見た目や”映え”ではなく、妥協せず、真剣に、一生懸命に素材に向き合う。
全ては「お客様に美味しいお菓子を届ける」ために仕事をする。
土を触り、身体を使ってお菓子を作り続ける鎧塚シェフのお話から、信念のための行動が人のココロをつかむお菓子を生み出している、と分かりました。
「その仕事は、誰のための仕事か?」
「そのために、何をしているのか?」
職人、自営業に限らず、誰もが心に留める必要がある、問いです。
私も今一度、振り返って考えてみようと思う、ティーセミナーでした。
(文・西村ルミ)